大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)369 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人熊川定一の上告理由一の点について。

論旨は、原判決には証拠に基かずして事実を認定した違法がある旨主張するが、

原判決挙示の証拠によれば、論旨指摘の判示事実を認めることができる。論旨は理

由がない。

同二の点について。

論旨は、原判決には理由不備の違法がある旨主張する。しかし、裁判所は既に認

定したある事実又は情況を他の事実の真否を判断する資料に供することができるの

であるから、原判決が既に認定した事実並びに挙示の各証拠によつて論旨指摘の判

示事実を認定すると判示したことは正当であつて、原判決には所論の違法はない。

同三の点について。

論旨指摘の判示事実は、被上告人が本件山林の所有権を承継取得するに至つた経

過、すなわち、被上告人の前々所有者の所有権取得に関する事実に過ぎないから、

本訴裁判の基本となる、いわゆる、主要事実に属さないこと勿論である。故に、右

の点について原判決が被上告人の主張と異る事実を認定したからといつて、原判決

は当事者弁論主義に反する裁判であるということはできない。所論は理由がない。

同四の点について。

原審が証人Dの第一審および原審における証言の全部を事実認定の資料にしたも

のとはたやすく断じ得ない。すなわち、所論1の証言部分は原判文ならびに右証言

のその余の部分と対比しこれを採用しなかつたことを推知するに足り(原審がこの

趣旨を判文の上で明らかにしないうらみはあるが、右は被上告人において本件山林

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の所有権を承継取得したとの原審の認定を首肯するになんら妨げとなるものではな

い。)その余の所論各証言部分はすべて原審の事実認定に直接の関係がないのであ

つて、原審が右の限度で前記各証言を採用したことに経験則違背の点は認められな

いから、論旨は結局原審の証拠の採否を非難するに帰し、採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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